『天日坊』、歌舞伎役者さん、すごすぎるね

『天日坊』をシアターコクーンで鑑賞いたしました。当方観劇初心者。

歌舞伎も、コクーン歌舞伎もはじめて。いやそもそも、チケットを取った時点では、コクーン歌舞伎というジャンルであることすら知らなかった。ただ、駅で見かけた広告に惹かれて、歌舞伎も経験として観ておくかぁ、くらいの気持ちだった。

お話に着いていけるか不安だったのだけども、観終わった後は「チケット取った私、マジ良くやった…お前は偉い」の気持ちだった。超良かった…。

歌舞伎って、全くの初心者からすると、詳しい人は着いていけるけどそうでない人にはなかなか敷居が高そうで、静かで厳かなものっていうイメージだった。あと、言葉の違いがあるから難しそうとも思っていた。

冒頭で小難しい言葉が並んだとき、「あーこれミスったかも。」と思った。「全然何言ってるかわかんねぇ頭が処理できない。」けど、そこから一気にクドカンらしいノリに変わっていって、相関図的に混乱した点はあれど、きちんとお話にのめり込んで楽しむことができた。それと観ている人の熱気を感じたような気がする。現場ならではの感覚だけれども。拍手、手拍子があるからかなぁ。『フェイクスピア』のラストで、会場が緊張に包まれたのをはっきり覚えているんだけど、まさにそんな感じで、観客を感じられたんだよな。あれもすごい。

あと、盛り上げるのうますぎ! 脚本で佳境はあるし役者さんの見せ場もあるんだけど、生演奏のおかげでそれがぐんと際立っていた。あのバンドなしにはここまで沸る感じはなかったのではと思ってしまうほどで… つまり歌舞伎って、ポテンシャルすごいなということ。いろんな演出の可能性があるんだわ。

歌舞伎役者さんの演技力は目を見張るものだった。こんなにすごいの…? うまく言葉にできないんだけど、私がよく観るような演劇の役者さんとはまた違った味があって、虜になった。歌舞伎ファンの友人から「そりゃ幼少期からずっとやってるんだよ」と言われ、確かに…。

身体能力も、びっくりした。中村勘九郎さんが船から飛び降りるシーンで、一瞬静止したの、腕の力⁉︎⁉︎ かっこよ…。それにこれは、演出的には全く真新しいものじゃないらしく、興奮するほどじゃないのかもしれないけど、ラストの殺陣の動きの滑らかさが、”ガチ”やった。そして、途中ぴたりと止まって、ポーズを取るところ…歌舞伎流のファンサなのかな?あれ、カッコ良すぎるでしょ…。ブロマイド買っちゃうのわかるわ。役者さんを目立たせる場面を作るっていうのも、歌舞伎……新鮮で面白いな。

『天日坊』というお話は、あの混乱を極めた時代に翻弄された人の「何者なんだ」という叫びが、興味深いと思ってしまった。あのお話が、歌舞伎として大衆に共有されたんでしょ、というと当時の観客たちも、自分は何者なんだという問いを考えていたということで…不思議な感じがした。

あ。木曽、今井について、先日観に行った「THE HEROES展」で、浮世絵や解説が見られるので関心がある方ぜひー! 結構面白かったです!

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