最近観た映画の覚書『ミッドサマー』『ドライブ・マイ・カー』

『ミッドサマー』

誰かと観るのがおすすめ(悪魔の囁き)

フェミニズム分析の視点を持つ友人は、ダニーが男性たちから解放され幸せを掴んだという見方をし、ハッピーエンドとしていて、ほー、と思った。

私は…異なる文化に出会ったときに、面白がったり、恐怖したり拒絶したり、敬意を失ってしまうことへの罪深さみたいなのを考えていた。そういう点では、卒研のネタにされ村がぐちゃぐちゃになってしまうのは防げたので、村的にもハッピーエンドなのかもしれない…

とはいえ顔がぐちゃぐちゃになって恐怖を煽ったり気持ち悪がらせる演出ばっかりだったんだけど。性行為が見守る対象っていうのも絶妙に気持ち悪かった。

あとは共同体の(ゲゼルシャフトっていうんだっけ??)歪なあたたかさも感じていた。外部の人間からしたら絶望でしかないけど、村の人たちにとっては希望みたいなズレ。痛みも悲しみも快感も共有して、人と深く繋がろうとし繋がれる場所ではある。

幸せな気持ちで崖から飛び降りるけど、これは人権侵害なのか、とかも、現実では議論されるところだなー。炎に包まれて体が燃える瞬間後悔するのかな。

あーーあとキマってる時にどのヤクブーツを飲んだのか知りたい。クリスチャンが飲まされたのはコカインっぽいとは思った。

卒論やってる人にジョシュの言葉は使えるね。あれいいね。ネットミームにしよう。

残り思ったこと羅列。
スウェーデン語ではMidsommarなんだー
・最初の絵、女性に人が群がる絵画って、村に関係してたりするのだろうか。
・コミューン出身って言い方するんだ→フランスの地方自治体の最小単位で、スイスの基礎単位らしい。不勉強
・テーブルでジョシュたちが光、ダニーが影という演出だった→しかし結果としては逆だった
・クマの檻が開け放たれてみんなぐちゃぐちゃにされそう→ならなかった
・北欧って大麻合法化?→スウェーデンは禁止。
・バッド入った時にみた人が、クリスチャンの相手になった女性か?
・バッテストウバーンってなに?→アッテストゥパンで、崖って意味らしい。
・ブルーシートがたくさん敷かれていたけどなんだったんだ。
・骨、肉、たまごで埋めてたけどホルガ村流親子丼かな?
・クリスチャンは精子提供としての役割が終わったから処分されてしまった
・邪悪なものを見立てて浄化するというお祭りだった。だから最後火で燃やすのか?
・クリスチャンが吹きかけられた粉はなんだったの?

北欧神話も関係しているっぽいので、どこかで解説とか読めたらいいなー

確かに面白かったけど、考察班になれるほどはのめり込まなかったかも。


『ドライブ・マイ・カー』

面白かったけど、好みかと言われるとそうではない。こういうのあるよね。

特に前半なんかは性行為と自慰行為の話ばっかりであった。友達誘って見たのちょっと後悔した…草。喘ぎながらも淡々と脚本を語っているのが奇妙で、こういうのが美しいと感じて書いたんだと思うとムズムズする。性行為の後にインスピレーションが湧いて物語を紡ぐ女性というのになんかウケてしまった。世間一般でいう村上春樹っぽさがなんとなくわかった。

ただチェーホフの『ワーニャ伯父さん』のメッセージと家福たちの状況を重ねながら進んでいく展開は面白かったし、まぁ何が好きかって『ワーニャ伯父さん』の言葉たちなんだけども。4年前に読んだ記憶だけがある。サーニャを手話でやるというのがよかった。サーニャの演技、まさに何かが起きていた感じした。あと全体的に楽しめたのは、濱口さんのおかげなところが非常に大きい気がする。『偶然と想像』もかなり良かったけれど、なんか一瞬一瞬が美しいんだよな。雪のシーンなど。

最後の展開をどう解釈するかで結構分かれた。私は、自立して車をどうにか自分で買って犬をパートナーとして過ごしているのかな、的に観てしまったんだけど、同行者は村上春樹のことだからそれはないのでは、と言っていて、確かに犬は夫婦の象徴として登場していたのだからここでも同じ意味だとすると、あー。残念。私、自分の理想を重ねすぎだな。

濱口さんの映画もっと観たい。『寝ても醒めても』も、『スパイの妻』も観てない。映画を落ち着いて観られる精神状態になったのが最近だから仕方ないんだけどもっと早くに観られていたらなあ。